避暑地
昨日(25日)今日(26日)と日本列島は関東を中心に6月として記録的な猛暑となっている。
昨日25日は群馬県伊勢崎市で40℃を超え、今日も各地で35℃を超える暑さの中、この島は本日の最高気温30℃だった。
日差しこそ痛いくらいの強さはあるが、窓を開け放った室内は風が良く通ってエアコン無しで過ごせた。
動くとじんわりと汗ばむ。
しかし、窓から入る風は汗をかいた肌に心地よかった。
思えば4年前の夏に帰省した時にも同じ事を思った。
その夏、青梅市で40℃を超えたとニュースになった時にここは30℃だった。
土の力、緑の力の偉大さを感じたものだ。
移住する前に、職場の人やママ友さん達に聞かれた。
「やっぱり南の島はあったかいの?夏は大変なんじゃない?」
年間の平均気温は確かに高く、冬の風が穏やかな晴れた日にはジャンバーもいらないくらい暖かい。
が、島特有の強い海風は冷たく体感気温は関東とさほど変わらない。
しかし、夏の暑さは格段に違う。
日差しは痛いくらいでも日陰に入れば涼しくて、窓を開けて寝ると朝方冷え込んで肌寒い。
日が暮れると風は心地よく、扇風機で十分まかなえる。
蒸し暑く熱帯夜が続いてエアコン無しでは命に関わる猛暑の関東から見れば、ここは「避暑地」だ。
お昼にごはんを食べに帰宅した旦那は「関東の方が日差しも強い」と言った。
生まれも育ちも東京という生粋の都会人である旦那は、移住にあたり農業に従事してくれた。
知り合いの農業法人の社員として働いてくれている。
そんな旦那は炎天下のサトウキビ畑で作業しているのだが、暑さも日差しも関東よりマシだから大丈夫だよと笑った。
行ってらっしゃいと見送った後、玄関にペットボトルを見つけた。
午後の作業中用に用意した凍らせたスポーツドリンクと麦茶だ。
慌てて電話するも時すでに遅く畑に到着していた。
母に道案内がてら同行してもらい、娘と届けに行った。
衝撃だった。
頭では分かっていた。が、分かっているつもりなだけだった。
広大な畑には当たり前だが日差しを遮る物はなく、炎天下の作業の大変さを目の当たりにした。
「ありがとう!」と駆け寄った旦那に手渡しして帰路に着く。
車中で母と娘とで感謝しなくちゃねと会話していた。
文句ひとつも言わずに仕事に行ってくれている旦那。
仕事から帰ってきたら釣りに行くくらい体力のある人だから、大丈夫なのだと思っていた。
私は心の中で懺悔した。
「汗臭いから風上に座らないでと思っていてごめんなさい」と。
汗臭くなって当然、頑張っている旦那に改めて感謝。
少しでも食べやすく体力維持出来るような献立を考えて、美味しい物を作ろう。
このほん よんでくれ!
昨夕、劇団道化さんによる演劇公演を観劇してきた。
学校にポスターが貼ってあったり町の広報誌に掲載されていたりで、良い機会だからと子供達と一緒に。
東京には当たり前のようにある映画館や劇場は、島には無い。
コンサートやライブをはじめ、ミュージカルでも映画でも演劇でも寄席でもなんでも観る事が出来る環境では、無い。
そんな島で文化的体験を得られる機会を逃す手はない。
……子供の為を大義名分にして私が楽しみたいだけなのだが。
演目は「このほん よんでくれ!」
字を読めないオオカミが絵本に出会って成長する話。
内容としては字を覚え始めた低学年・幼児が対象なのだが、役者さんたちの一言一言に引き込まれた。
観客参加型で一緒に歌ったり手遊びをしたりと、子供も夢中になっていた。
小6の息子にはちょっと幼稚だったかなと気になったが、彼も小さく手を動かしていて、目が合うと照れ臭そうに笑っていた。
1時間の演劇はあっという間に時間がすぎた。
終わってもなかなか帰りたくない雰囲気の子供達。
舞台上の役者さんたちに名残惜しそうに手を振り、帰路に着いた。
ホールを出た時にはまだ薄明るかったが、帰宅した時にはすっかり暗くなってしまった。
楽しかった。
また機会があれば、ぜひ行きたい。
出掛ける前に焼きおにぎりを頬張って行ったのだが、育ち盛りの子供達はお腹空いていたので、帰宅後そうめんを茹でた。
「まだ食べるの⁉︎」
とばあちゃんがびっくりしたのは、また、別のお話。
風の島
日本は、その領土の全てが島で構成される「島国」である。
日本を構成する島の数は 6852 。
そのうち有人の島は 417 、残りの 6435 の島は無人島である。(2016年4月1日時点)
そんな島だらけの日本で、主要5島(本州、北海道、九州、四国、沖縄本島)と北方領土4島を除いて島面積ランキング第7位の島が、私の住む風の島「種子島」である。
ちなみに、6位はお隣の屋久島。こちらは「雨の島」であり、世界遺産として有名。
風の島だと教えてくださったのは近所にある古民家のスタッフの方で、私は全く知らなかった。
屋久島が雨の島と呼ばれているのは知っていたのだが、こちらが風の島なのは初耳だった。
でも、納得。島にはいつも風が吹いている。それこそ四方八方から。
最高標高282メートルのこの島は、割と吹きっさらしのイメージだった。
関東なら台風レベルの強風もたびたび吹く。
風が強くて飛行機の離着陸に影響が出ることもしばしば。
なるほど、「風の島」だ。
鉄砲とロケット、近年だと安納芋も名を馳せてきている種子島だが、実は歴史も古く縄文期の遺跡も残っている。
この辺りもこれから掘り下げて勉強していきたいな、と考えている。
まぁ、まずは、今日のこの風に吹かれて……とのんびりしていたら洗濯物が飛んだ。
ピンチでしっかり止めていたのに……。
取ってきたら今度こそ、風に吹かれながらコーヒーでも飲もう。
始動
Uターン移住して2ヶ月が経った。
だいぶ新生活にも慣れてきた(気がする)
ちょっとだけ新しい事を始めたくなった。
30年ぶりの島暮らしに悪戦苦闘中の私の、そんな日々の悲喜交々を綴っていこうと思う。